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アナタハ人間デスカ? 遺伝子工学実習見学(H先生より)

9月15日。バイオテクノロジー学科の1年生が2年生(遺伝子・生化学コース)の遺伝子工学実習を見学しました。
ふだんの授業ではイメージするのがむずかしい「遺伝子を取り扱う」様子を、見て体感するのが目的です。
 
元気よくあいさつをして入室。
3班に分かれた1年生を9名の2年生が分担して指導します。2年生の表情はどこか硬く、緊張気味。

さっそく担当の鈴木先生の説明を聞きます。事前に配布された実験マニュアルは全部英語!
『2年生はこのマニュアルを読めるのだろうか?実習も英語で行われるのだろうか?・・・』不安が募る1年生。

この日の実験はPCR(遺伝子を短時間に大量にコピーする技術)です。
男性と女性それぞれから口腔内上皮細胞を採取し、その中に含まれる「男女問わず 持っている遺伝子」と「男性のみ 持っている遺伝子」を大量にコピーします。
そして目的の遺伝子が大量コピーされたか確認するところまで。

まず、試薬や試料を混合するチューブを取り出します。直径1cm弱、長さは数cm。
「滅菌してあるから、なるべく手で触れずに取りだしてね」

試薬を数μLずつ取り出してはチューブに加えていきます。涙1滴が50μLですから、どのくらい少ないか想像できますね!  
微量な液体を測りとるためにマイクロピペットという器具を使います。
先端のチップは1回使うごとに捨てるんだよ、試薬をすべて漏れなく加えるためにチェックを忘れずに・・・など、2年生からアドバイス。

チューブに試薬をすべて入れたら全体を混ぜるために「ピペッティング」という操作をします。
さらに、チューブの壁面に付着した液体を集めるために遠心分離器で「フラッシュ」します。
こちらは新しい遠心分離器です—青が目に眩しい。

 
フラッシュを終えたチューブを「サーマルサイクラー」にセットします。
この機械は94℃→55℃→72℃と一定時間ごとに温度を切り換え、PCRを進行させてくれます。セットする様子はこちら。

 
チャイムが鳴って昼休みですが、実習はいったん始まると時間割どおりにはいかないもの。
キリのよいところまで継続です。一方、昼休みに入った食品コースのメンバーがやってきました。

 
ちょっとでも待ち時間があるとパリピポーズで空気椅子。
さて、この中に実のきょうだいがいます。どの二人でしょう?科技専には兄弟姉妹で通学してくれる学生も多いのです。

PCRが終了すると、電気泳動で結果を確認します。
サーマルサイクラーからチューブを取り出し、青紫色の色素と混合します。
ボルテックスミキサーで混合しているところです。

準備できたサンプルを寒天でできた板に小さなくぼみにそ〜っと充填。
実習中はガンガン英語で指示が飛びますので、くぼみのことは「well(ウェル)」、「充填」のことは「apply(アプライ)」と言います。
2年生は手慣れたものですが、1年生もなかなか。みんな真剣ですね!
電圧をかけるとサンプル中のDNAが大きさごとに分離します。
ここで手持ち無沙汰な人たちによる寒天の試食会が始まりました。断り切れず口にする1年生続出。みつ豆に入っている寒天と同じような色感ですが、決して美味しくはありません。

 
DNAが寒天の中を移動している間、2年生が実験器具の洗い方を指導します。
洗剤をつけてこすりながら、ガラスの表面に水滴がつかなくなるまでピカピカに磨きます。
1年生も実習で使った器具を洗っていますが、この「2年生基準」からすると“まったく洗えていない”ということになります。ショックを受ける1年生・・・。
「これからはしっかり洗います。」「今までは2年生が洗ってくれていたんだ!とようやく気づきました。」という感想が聞かれました。

 
洗浄が終わると、隣の実験室に食品コースの実習を覗きに行きます。ゾロゾロと1年生が入室すると・・・豆腐ができていました!
いつのまにか、遺伝子・生化学コースの2年生も集まってきて「豆腐だ!」「食べられるの?」と大騒ぎ。

そろそろ電気泳動が終わるので、実験室に戻ります。
寒天上のDNAはそのままでは見えません。DNAを色素で染色して紫外線を当てると光って見えるので、それを写真に撮って確認します。
男性のみ持っている遺伝子がくっきり。
男女問わず持っているはずの遺伝子は、男子のサンプルでは確認できましたが残念ながら女子のサンプルではクリアに見えませんでした。
「え?ということは人間ではない?」いいえ、そうではありません。実験は予想どおりの結果にならないこともあります。
何が原因だったのか、それをどうやって確認するのか、次はどうするか・・・とことん考察します。

 
結果を確認した後、1年生は教室でレポートを書きます。
背中に少々疲労感が漂っています。来年のコース選択の参考になるといいですね。

 
2年生はチームワークも抜群。立派に1年生を指導していました。
終わって充実の笑顔!みなさん、お疲れさまでした。