百聞は一見にしかず・・・遺伝子工学実習見学
時は遡り9月11日、「遺伝子工学実習見学」が行われました。
1年生が「遺伝子・生化学コース」2年生の実習を見学します。ふだん教科書と説明だけをたよりに目に見えないDNAをイメージしていますが、実際にはどのように実験しているのでしょうか?夏休みの間に予習をして見学に臨みました。
この日の実習内容は「PCR」と「電気泳動」です。
PCRはDNAを短時間に大量に増やす技術です。インフルエンザやデング熱など病気を引き起こすウイルスの型を調べる、犯罪捜査で個人を特定する、というとき、PCRでサンプルDNAを準備します。
今年の1年生は9人、2年生は8人。
元気よく挨拶して見学開始です。
まず、鈴木先生の説明を聞いてからPCR実験の工程を見せてもらいました。
マイクロピペットを使い、涙よりも少ないくらい微量の試薬を次々と加えていく2年生。
「はい。それじゃ、やってみましょう〜。」と1年生にもマイクロピペットが渡されます。測りとる分量はほんのひとしずく。マイクロピペットの目盛りを所定の分量に合わせて調節します。“まず目標の量よりも多めに設定してから適量に戻して・・・”とお姉様からコツが伝授されました。
試薬やサンプルを混ぜてできあがった反応液はサーマルサイクラーという機械にセットされます。
予習の段階で、1年生には「科技専にはサーマルサイクラーがないのでは?」という疑問があったのですが、見事に解消・・・あってよかったですね。
午後からは「電気泳動」を見学しました。電気泳動は、寒天でできた薄い板(ゲル)にDNAサンプルを注入し、電圧をかけて分離する方法。
まず、2年生が自分たちの調製したサンプルをゲルに注入し、1年生も挑戦しました。
「手がプルプルする!」と大騒ぎ。「ピペットの先端を押さえるといいですよ」と2年生がアドバイスを。
今年はここで「事件」が起きました。
「電気泳動に使うゲルは寒天です」と説明された1年生は「あれ、食べられるのか?」としきりに囁き合っていました。「質問はありませんか?」と聞かれ、Y君がついに「ゲルは食べられますか?」と質問しました。先生の「無害ですが、ちょっと苦いかも」との言葉に一瞬ひるんだものの、「食べてみよう!」と一人が言い出すと次々と手が伸び、結局ほぼ全員が試食。
実習見学は今年で9回目ですが、ゲルを食べた1年生は初めてです!食いちぎられたゲルはこちら。
DNAが流れるのを待つ間、ガラス器具の洗い方の指導がありました。
「キュキュッと音が出るくらいこすって」「水がはじかなくなるまで!」
毎年、ここで1年生は自分たちの「洗い」のずさんさに気づくのですが、翌年には当たり前のように洗ってみせるまでに成長するのです。すばらしいことです!
実習にはさまざまな器具を使いますが、DNAを扱う器具は滅菌しておく必要があります。消耗品は使ったら使った分だけ補充です。というわけで、マイクロピペットの先端に取り付けるチップを滅菌するための準備、「チップ詰め」を行いました。
最後に、電気泳動の結果を確認・・・悲喜こもごもでしたので写真は割愛。
その後、1年生は教室に戻ってレポートを書き上げました。全員が寒天を食べた感想を書いていたのが印象的でした。
あっという間の4時間。1年生には、2年次のコース選択のヒントになる体験でした。一方、手際よく1年生を指導しながら実験を進めた2年生はほんとうに立派。1年生からは「来年、あんなふうにできるかな・・・」と不安そうな声が聞かれましたが大丈夫!
みんなお疲れさまでした!