サケの人工授精
学生に、録画していたタラバガニ漁のテレビを休日に見た話しをすると、
「どんな休みを送ってるんですか」
と言われました。
充実した休日ですが、何か?
お元気ですか。海洋生物学科の岡本です。
さて、北海道で水産生物を学ぶ者としては、サケのあれこれを知らないとは言えません。
特に、北海道の重要な水産資源としてサケは外せないのですが、
それもひとえに、人工授精やふ化放流といった栽培漁業が成功しているためです。
ということで、秋に大海原から返ってくる成熟したサケで人工授精を体験。
毎年お世話になっている、札幌市さけ科学館へ行ってきました。
まずは、外の池で雌雄のサケをタモ網ですくうことから。
次に、サケを気絶させるのですが、
頭をぼっこで叩くという、原始的な方法と、
麻酔で眠らせる方法があります。
どちらも、メリットとデメリットがあるそうです。
続いて、
オスとメスの見分け方を教えていただきます。
一番分かりやすいのは、オスの吻部が成熟すると鼻曲がりという状態になることですが、
他にも色々と外観から区別がつきます。
続いて、体重と全長を測定します。
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そして、採卵。
まず、お腹を割きます。
中から、無駄なく卵をかき出し、
続いて、オスの総排泄孔から絞るようにして精子を卵にかけます。
この状態では、受精はしていません。
水と出会って初めて、
受精するのです。
その後、人工授精以外にもやることがたくさんあります。
大事な年齢査定です。
そのために、まずは鱗を取ります。
ピンセットで引っこ抜くのですが、川に帰って来たサケは皮が厚く、
思ったように鱗が取れないようです。
顕微鏡で拡大したら、
年輪になっています。
サケは季節のある自然界で摂餌するので、餌がたくさんあって成長する時期は筋が広く、
逆なら密になっていて、何歳か分かるのですが、
何回見ても、岡本は年齢査定が苦手です。
最後に、解剖をしていただきました。
グロテスクで嫌がる学生が多いかと思いきや、
結構みんな、真剣に見ていました。
増養殖の仕事はもちろん、
魚の流通関係、水族館や熱帯魚関係の仕事でも、
直接的に、応用して使えそうな体験だったと思います。
10月末に増毛の川で遡上していたサケたちと、
さけ科学館に展示されていた稚魚。
ふ化放流のおかげで、美味しいサケやイクラをいただけることに感謝です。